2021年4月4日

金曜ロードショーでやってたから「ゲド戦記」観たわよ。

 

まあまあ。つまらなくはないよ,面白くもないけど。

 

なんか巷ではさ,宮崎吾郎監督のことを本作の出来で悪しざまに罵る人たちもいるけどさ,俺はそんなに悪くないと思うよ。

 

大体,批判してる人のなかの何人が2時間のアニメ映画作れるっていうのよ。映画なんて100も200も作れるもんじゃねえんだから。タルコフスキーなんて生涯で10作よ?生涯で10個できれば御の字みたいな仕事を1個でもやり遂げられた人間がいったい世間に何人いるのよ。俺はそんな仕事,やり遂げた覚えはないよ。それだけですげぇんじゃねえの?

 

あとさぁ,父親のスタジオで,ファンタジー小説の名著を父親が改訂したものを下敷きに自分らしさを出せるかって言うとそれも難しい話じゃない?俺が急に父親の職場行って,父親の部下に指示出してオリジナリティに溢れたものが作れるかっつって,作れる訳ねえもんな。

 

けどまあ,そうなんだよ。結局この映画観て思ったのが「窮屈な映画だな」って思った。全然はっちゃけてない。全部に下敷きがある。下敷きがあるから,その上をなぞろうとして全体的に窮屈な映画になってるんだよ。

 

父親の存在もそうだし,「ゲド戦記」っていうファンタジー小説の金字塔ってところもあるしさ。

 

あと,そうなんだよ。ファンタジーっていうジャンル自体が下敷き力がもう強くて強くて仕方ないんだよな。

 

プロップやキャンベルのいうところの物語の構造や象徴とかがもうしっかりしすぎててさ,代り映えしないのよ。

 

もう予定調和なんだよ,ストーリーもさ。象徴もそう。ああこのアイテムはこの象徴だな,これとこれが対をなしてそれが融合されて個性化がすすむんだな。

 

もう見飽きた!!!

 

はじめはさ,楽しいんだよ。自分の思ってた理論と作品が対応していくのがさ,「あぁあれはこういった象徴だったんだな」って考察しながら楽しむのがさ。けど,どの作品もそういった定型から外れてこないなって感じ始めたところぐらいからもう飽き飽きしてんのよ!

 

もう観る前から観た後みたいな感じになるんだもん。

 

だからもうファンタジー自体がしっかりとした下敷きなのに加えて,父親の「ジブリ作品」っていう下敷きまであるもんだから,もう全然活き活きしてないの。キャラがしゃべる前から何言うかわかる。

 

強いて言えば,ヒロインが急に竜になるシーンぐらいだったよ,予想できなかったのは。意味わかんねぇじゃん。あれが許されるんだったら,俺の正体が石油王でもおかしくねえよな?!なぁ!?!?

 

けど,もう一回言うけど,悪い映画じゃないのよ。皆がそんなに悪しざまに言うほど悪い映画じゃない。少なくともこんなブログ読んでるよりは,こっち観た方がいいんじゃねえの?って思うぐらいの映画ではあるよ。