20210708
「哀しき獣」観たわよ。
ナ・ホンジン監督の2作目。
映画観始めた瞬間に,元のタイトルの「黄海」ってのがデカデカと表示されて「いや,どう考えたって元タイトルの方がかっこよくない?」ってなった。
映画の合間に「第何章」って表示されるの珍しいな。何か元ネタあんの?
主人公が殺しを頼まれて,殺したことの証拠に殺した相手の親指を切って持ってこいって言われるんすけど
それを切ってるときに,ドスとか斧とかなくて,包丁しか持ってないもんだから全然切れなくて,包丁を思いっきり振り下ろしたり擦るように切ろうとする時の,骨に当たって「キコキコ」とか「キシキシ」とか「ゴッゴッ」っていう音が聞こえるの,めちゃくちゃリアルで背筋に寒気が走ったわ。
そこまで表現しなくていいだろッていうか,普通の凡百の映画だったら絶対そんなところ撮らないと思うんすけど
そこをちゃんと撮るのが,この監督の素晴らしいところですね。リアルさが全然ちげぇから。
あと,主人公を追いかけてくる社長が強すぎる。めちゃくちゃ強い。ナニモンだこいつ。手斧ひとつで全員ぶち殺してくし,武器がない!ってなったら手元にあった牛骨使って相手の頭蓋骨粉砕してくるの怖すぎる。
メチャクチャいいキャラだったからもっともっと漫画的なまでに強い表現してもよかったんじゃないかな。そんぐらい強い,この社長。強すぎる。
あとすげぇいい脚本だったけど,マジモンの本格ハードボイルドだったからストーリーが普通に難しくて「今どういう状況?」って聞きたくなるシーンが多かった。特にラストシーンがよくわかんなくて,観終わったあとにネットでネタバレのストーリー観て「あぁなるほどこういうストーリーだったのね」ってなった。別にそういうのなくても面白い映画だったけど,映画にするんならもうちょっとストーリー単純化してもよかったんじゃないかな。
あとナ・ホンジン監督っぽく,ラストシーンはやっぱり悲しいね。胸糞もそれなりに悪い。
けど俺はなんか,こういう救いのないエピソードに真実味を感じてしまうんだよな。なんでだろう。俺はこんなにも幸せで優しく,自分の生活が日々恵まれていることを噛み締めているのにも関わらず。